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松本幸四郎が愛した地

私は山の景色が好きですが、就中渓流が大好きで青葉時とか紅葉の頃に岩に激し、淙々として流れ行く京都の保津川下りなど殊に好みまして度々やりました。然し東京に住んで居る私共ですから東京附近にも斯ういふところはないものかと思つて居りますと、大正二年頃でしたか、秩父の長瀞と寄居の間七里の渓流が保津川に劣らぬところだといふことを聞いて行つて見ました。
そして大いに氣に入つたので直ちに腰を客るゝに足るだけでは御座いますが別荘も建てたので御座います。

松のみどり 七代目松本幸四郎著
武州寄居雀亭(AIによるカラー化)

歌舞伎の名優・七代目松本幸四郎丈が、この地に別荘を建ててから110年。現在の雀宮公園は、四季折々の景色が当時と変わらず人々を魅了しています。

歴史

別荘の新築時、祝賀会が開催され、招待客は長瀞から別荘下まで舟下りを楽しみ、「絶えず打ち上げらるる花火は山に響き川に伝わり、未曾有の盛況なりき」と新聞に報道されたといわれています。
 
その後、所有者は寄居町内の造り酒屋に移り、ご厚意により通称「雀の宮公園」として開放されていました。市街地にありながら、自然に囲まれた貴重な公園として、広く町民に愛されていました。
 
しかしながら、広大な敷地を管理することは容易ではなく、様々な事情から、公園を囲むようにブロック塀が積まれ、園内に入ることはもとより、中の様子を伺うこともできないようになりました。
 
時は流れ、平成20年代に入り、公園が開放されていたころを懐かしむ声が多く聞かれるようになりました。町としても、歴史的・文化的背景から貴重な観光資源として考え、所有者から土地をお借りして、一部園内を整備し、平成26年3月に仮開放することになりました。
 
その後、数年にわたり園内の整備を重ねてきました。途中、町が土地を買い受け、当時の別邸を模した東屋や橋を建設し、令和2年11月に「雀宮公園」としてリニューアルオープンしました。

つつじ咲く園内

風鈴の音が涼しさを演出

咲き誇る曼珠沙華

幻想的な雪景色

十代目松本幸四郎丈の座右の銘「守破離」を刻む

七代目松本幸四郎丈の曾孫にあたる十代目松本幸四郎丈から、座右の銘である「守破離(しゅはり)」という言葉を直筆でいただきました。「守破離」とは、日本の茶道や武道・芸道における考え方であり、「守」は師や流派の教えや型を忠実に守り身につけること、「破」は良いものを取り入れ、心技を発展させること、「離」は独自の新しいものを生み出し確立させることを表します。

紅葉の名所

雀宮公園の歴史は、100年以上にも及びます。時を超えてなお、多くの人々に愛されるこの貴重な公園は、今では、寄居町を代表する紅葉スポットとして知られています。
昨年、ライトアップを行い、多くの方々に楽しんでいただきました。今年も、ライトアップを予定しています。
四季折々の景色と、背景にある歴史的・文化的な雰囲気を感じながら、古に思いを馳せてみませんか。皆様のご来場をお待ちしています。

秋の夜長を艶やかに


ライトアップで彩を

アクセス

電車/東武東上線・秩父鉄道線・JR八高線「寄居駅」から徒歩約15分
東武東上線「玉淀駅」から徒歩約10分
自動車/関越自動車道「花園IC」から約15分

所在

埼玉県大里郡寄居町大字寄居643番1

開園時間

4月~9月/午前9時~午後5時
10月~3月/午前9時~午後4時
※年末年始も開園しています。

問い合わせ

寄居町プロモーション戦略課