~寄居町の祭り~
寄居町は、豊かな自然だけではなく、歴史情緒のある町です。
古くからの歴史がある寄居町には、伝統の祭りが数多く残っており、日本情緒を味わえる祭りとして地元住民や多くの観光客で賑わいます。今回は数ある祭りの中で、河原が会場となる2つの祭りを紹介します。
寄居北條まつり
1590年、鉢形城を舞台に河原で繰り広げられた北條軍と豊臣軍による合戦を再現した祭りで、当日は、500人が当時の武者姿で登場し、市街地をパレードした後、両軍に分かれて玉淀河原で戦います。日本の中世の合戦が再現され、見ごたえのある迫力満点の祭りです。
例年5月第2週目の日曜日に開催され、当日は、合戦だけではなく、物産展や多くのご当地グルメの出店がありますので、歴史だけでなくグルメにもおすすめの祭りです。
この祭りで登場する鉢形城主の北条氏邦は、天文10年(1541年)頃、北条五代の一人、北条氏康の四男として生まれ、後に1568年に鉢形城を築城し、鉢形城主となった人物です。天正10年(1582年)の天正壬午の乱では、神流川での戦いにおいて、甥で当主の氏直を補佐し、滝川一益を壊走させ、天正17年(1589年)には、宇都宮にも進攻しました。 豊臣秀吉の小田原征伐の際には、5万人の軍勢を相手に、わずか3,500人の兵力で1ヶ月余り居城・鉢形城に籠って戦いましたが、前田利家らに攻められ開城しました。その際に一命は許されましたが、慶長2年(1597年)に加賀金沢にて病死したと伝えられています。
小田原を本拠に関東一円を支配した戦国大名、北条氏の歴代当主5人は、「北条五代」と呼ばれ、下克上の戦国時代に周辺の大名と戦い、内政面でも手腕を発揮したとされています。この内政について、戦国の最中において親兄弟が争うことなく五代100年に渡って関東を治め、減税、殖産興業、経済振興、文化奨励を行ったことから、善政であったとされていて、現代のまちづくりでも学べるものが多くあります。
現在、この北条五代をNHK大河ドラマのテーマとして、北条五代観光推進協議会と舞台となった自治体を中心に、誘致を目指して署名活動を行っています。
寄居玉淀水天宮祭
名勝地、玉淀にて各町内からボンボリや提灯で美しく飾り立てた舟山車が数隻参加し、城山を背景にして打ち上がる大花火と、川面に映える万灯の競演を味わえることから、「関東一の水祭り」と言われる、寄居町を代表する祭りで、当日は出店も多く、町内外から多くの集客があり、市街地が活気に満ちあふれます。例年8月第1週目の土曜日に開催されます。
城山から花火が打ちあがるので、観客席のある河原から見ると花火を下から見上げる形になり、とても迫力があり、他にはない、水天宮ならではの見ごたえがあります。特に最後のナイアガラ仕掛け花火では、火花が城山から崖に向かって滝のように流れ落ちる圧巻の光景です。
この花火が終わると花火大会が終了となるため、ナイアガラの火が消えることで夏の終わりを感じ、どこか物寂しくなると同時にまた来年も訪れたいと感じます。
水天宮祭は、昭和6年に始まり、今年の令和3年で90年になります。奇岩・絶景の景勝地として県指定の名勝となった玉淀で、水難除けの神様である水神様を祀ったことが始まりと言われ、現在では安産・子育て、水難除けの神様として祀られています。
寄居町の代表的な2つの祭りを紹介しましたが、残念ながら今年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響でどちらも中止となりました。収束後、また開催されるのが待ち遠しいです。どちらの祭りも町を上げた魅力満点の祭りです。是非訪れていただき、町の魅力を感じてもらえたらと思います。
寄居町では、「歩きたくなる、歩いてお得なまち」を掲げたまちづくりを推進しています。祭りの会場への交通手段としては、駐車場が用意されますので車で訪れることもできますが、電車もおすすめです。
寄居駅、玉淀駅から歩いて10分ほどで会場の玉淀河原まで行けるため、駅を降りて町の風景と雰囲気を味わいながら歩いているとあっという間に着いてしまいます。駅からほど近くに河原が広がっている風景も寄居ならではかもしれません。
祭りの会場となる玉淀河原から寄居駅、玉淀駅周辺は、それぞれが10分程度と、歩いて散策するには程よい距離にあり、また、魅力的で個性的なお店も多くあります。
寄居名物の豚のカシラ肉を使った「やきとり」
祭りに訪れた際には、是非周辺も散策してみてください。きっとまた来たいと思えるようなお店や風景に出会え、祭りをより思い出深いものにすると思います。