文化遺産と地域活性化~「山車」の継承~
寄居町は、国史跡「鉢形城跡」や県指定名勝「玉淀」、行事など多様で豊かな文化遺産が数多く残る町です。文化遺産は、町民の心のよりどころであり、地域のコミュニティ形成に欠かせない役割を担い、地域の活性化を後押しすることから、これを次世代に継承していくことが重要となります。今回は、町の中心市街地で継承されてきた文化遺産「山車」を紹介します。
全国的に過疎化や少子高齢化等の影響により、伝統行事や民族芸能の担い手が減少するなど、行事等の継承に課題が見られる中、文化庁では、地域の伝統行事等の基盤整備を支援し、収益機能の強化や官民連携の取組を促すことで、地域活性化の推進及び経済波及効果の拡大を図る「地域文化財総合活用推進事業」を行っています。
地域文化財総合活用推進事業では、用具の修理・後継者育成など、各地域の実情に応じたさまざまな取組に対して補助を行っており、寄居町においては、まちなかの各地区が所有する山車や関連行事がその対象となりました。
平成29年度から令和4年度までの6か年に渡る計画では、山車の修復、後継者育成、記録作成などが盛り込まれ、傷んだ山車の部材の交換や剥がれた漆の補填などの修理、それらの工事記録の保存、周知、神田囃子の練習などが実施されました。
事業は、宗像神社例大祭に参加する「茅町・本町・中町・栄町・武町・花町・宮本(行政区名:六供)・常木・菅原」の中心市街地とその周辺を合わせた9町地区で組織した実行委員会により実施されました。実行委員会は、各町の山車の改修や行事を通して、町の伝統の継承や振興を担い、中心市街地から町全体の活性化に大きく貢献しています。
地域文化財総合活用推進事業によって改修された山車を紹介します。
どの地区の山車も華やかで迫力があります。これらの山車は、江戸時代後期から明治時代初期につくられたと伝えられており、山車の構造は近隣の地域にある「江戸型山車」より一昔前の構造であることから、文化的な価値が高い文化遺産であり、町の宝ともいうべきものです。秋まつりでは、各町で曳き回されるなど、山車は、まちなか賑わいの象徴として地域に愛されてきました。町では、現在、賑わい創出交流広場「YORIBA(ヨリバ)」の整備を進めています。今後、祭の開催時に山車が集合し、まちなかを巡行する際の発着点となるなど、山車が活躍する場となり、活用の幅が広がると期待しています。
こうした活用方法や活躍の場が増えることで、先人が大切に守ってきた文化遺産の継承とともに、文化や伝統のPRにつながり、町の賑わいの創出、地域活性化につながるものと期待しています。
【山車、文化遺産についてのお問い合わせ】
鉢形城歴史館 048-586-0315